建設業許可を受けるためには、個人事業であれば事業主が、法人であればその常勤役員1名が「経営業務の管理責任者」の要件を満たさなければなりません。建設業許可を取得するうえで、経営業務の管理者の要件を満たすか否かは大変重要なポイントとなりますので、以下で詳しく解説をいたします。

常勤であること

経営業務の管理責任者は、許可を受けようとする建設業者に常勤しなければなりません。
「常勤」とは、原則として本社、本店等において休日その他勤務を要しない日を除き一定の計画の基に毎日所定の時間中、その職務に従事していることをいいます。
よって、次のような場合には、経営業務の管理責任者としての常勤性は認められません。

常勤性が認められないケース
  1. 住所が勤務する営業所所在地から遠距離にあり、常識上、毎日通勤ができない場合
  2. 他の業者の管理責任者や専任技術者、国家資格を有する常勤の技術者等
  3. 建築事務所を有する建築士や宅地建物取引業者の専任の取引主任者等の他の法令で専任を要するとされている方。但し、同一の企業の同一営業所である場合は兼任も可能。
  4. 報酬月額が10万円未満の場合(この場合、他の企業等から報酬を得ていないかどうか住民税の課税証明書等でチェックされます)

建設業者において一定期間経営業務の管理責任者としての経験を有すること

次に、経営業務の管理責任者として認められるには、過去建設業の経営業務の管理責任者としての業務に従事していた経験があることが求められます。

こうした経験があると認められるには、建設業許可を受けようとする者が法人である場合には常勤の役員の内の1人、個人である場合には本人又は支配人の内の1人(以下併せて「常勤役員等」といいます。)が、次のいずれかに該当することが必要となります。

経営業務の管理責任者に求められる経験
  1. 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること
  2. 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって経営業務を管理した経験(経営業務を執行する権限の委任を受けた方(例えば、執行役など)に限ります。)を有していること
  3. 建設業に関し6年以上経営業務管理責任者に準ずる地位にあって経営者を補佐した経験(ここでいう「補佐」とは、法人では役員に次ぐ者(例えば、建築部長など)で、個人では妻子、共同経営者などが該当します)があること

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.建設業に関する5年以上の役員等の経験

ここでいう役員等とは、以下の役職を指します。

役員等に該当するケース
  • 株式会社・有限会社の取締役
  • 持分会社の業務執行社員
  • 個人事業主または登記された支配人
  • 指名委員会等設置会社の執行役
  • 法人組合等の理事
  • 建設業を営む営業所の支店長・営業所長

A.建設業を営む事業所において、B.役員等の経験が5年以上あることを証明できれば、経営業務管理責任者になることができます。

上記のA及びBの経験は次の資料により証明する必要があります。

A.建設業を営む事業所に勤務していたことを証明する資料

建設業許可を取得していた事業者に勤務していたときは当該事業者の建設業許可通知書等(許可番号のみで証明できる場合があります)。

建設業許可を有していない事業者であれば、建設業に関する契約書、注文書及び発注書など。

B.役員等の経験があることを証明する資料

法人の役員の経験であれば登記事項証明書、個人事業主であれば確定申告書。支店長・営業所長等は建設業許可申請書または変更届出書の副本によりその経験期間を証明します。

2.建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって経営業務を管理した経験【執行役員】

建設業の経営業務執行について、取締役会の決議を経て取締役会または代表取締役から具体的な権限委譲を受けた執行役員としての経験が5年以上あれば経営業務管理責任者になることができます。

こうした経験は、権限移譲を受けた執行役員等であったことを示す取締役会議事録によりその経験期間を証明します。
この取締役会議事録またはその他の資料から、建設業に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、代表取締役の指揮及び命令のもとに具体的な業務執行に専念した経験であることが読み取れる必要があります。

3.建設業に関し6年以上経営業務管理責任者に準ずる地位にあって経営者を補佐した経験【企業の建築部長、個人事業主の配偶者・子など】

前記2番の他、経営業務管理責任者に準ずる地位として経営業務管理責任者を補助した経験が6年以上あれば経営業務管理責任者になることができます。

準ずる地位とは、例えば法人における建築部長等の役員に次ぐ者や、個人事業における配偶者や子、共同経営者が想定されています。

こうした経験を証明する資料としては、個人事業の場合は確定申告書青色申告決算書法人の場合は、業務権限委譲の議事録・組織図・業務分掌規程・定款・社内稟議書等をもとに経営業務管理責任者に準ずる地位が認められるかを行政庁と協議を重ねることになります。

令和2年10月以降新たに導入された要件

法改正により、常勤役員等に経営業務の管理責任者としての経験がなくても、下記1又は2の経験を有し、更に、常勤役員等を直接に補佐する者を別に配置することにより、経営業務の管理責任者となることができるようになりました。

  1. 建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当する者に限る。)としての経験を有していること
  2. 5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有していること

(例)建設会社の常勤役員を2年5月経験し、不動産会社の常勤役員を2年10月経験+常勤役員等を直接に補佐する者として建設業の財務管理・労務管理・運営業務の経験者をそれぞれ配置する(一人で複数を兼任することは可能)。