建設業許可を受けるには、29業種の中から1つ又は複数の業種を選択します。業種ごとに専任技術者を配置しなければならないため、自社の人的資源や営業内容をよく把握したうえで、慎重に業種を選択しなければなりません。そこで、建設業許可業種の選び方のポイントについて、以下でご説明いたします。

主たる工事で許可を受ける

例えば、建物内のクロスや床の張り替え工事を行うなど、住宅リフォーム工事を行う場合には、「内装仕上工事」で許可を受ける必要があります。もっとも、一口に内装リフォーム工事といっても、照明器具・コンセントの取り付けや、厨房設備の配管工事を行うケースもあります。こうした工事に備えて、内装工事を請け負うのに必要となるあらゆる業種について建設業許可を受けるのはなかなか難しいのではないでしょうか?

もっとも、こうした場合であっても、「内装仕上工事」が主たる工事であって、その工事に付随して電気・照明設備の取り付け工事や配管工事を従たる工事として行う場合には、こうした従たる工事を下請けに任せる限り、「電気工事」や「管工事」の許可がなくても、「内装仕上工事」の許可のみで工事を受注できる決まりになっています。

「一式工事」と「専門工事」

土木一式工事と建築一式工事の2つの「一式工事」は、ほかの専門工事と異なり、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物又は建築物を建設する工事です。つまり、複数の専門工事を全他的に統括する業種といえますので、こうした一式工事と専門工事は全く別の業種とされています。

したがって、一式工事を請けているだけでは専門工事を単独で受注することはできず、その専門工事の許可を受けなければなりませんので注意が必要です。

工事内容が重複するケース

工事内容の中には、ほかの業種の工事と内容が重複する場合がありますが、、その場合はいずれかの業種で建設業許可を受ければよく、両方の業種で許可を受ける必要はありません。

例えば、外壁の左官工事を行ている建設業者が同時に防水効果のあるモルタルを使って防水工事を併せて行うケースでは、「左官工事」又は「防水工事」のいずれか一方の許可を受ければよいことになります。

一連の工事の担当部分により許可業種が分かれるケース

図面から鋼材を加工して鉄骨をつくり現場でくみ上げるという全体を施工する場合は「鋼構造物工事」を取得します。一方、鉄骨を現場へ運搬してくみ上げる工事を行う場合は、「とび・土木・コンクリート工事」を請ける必要があります。

取れるのであれば多くの業種を取っておいたほうがよい

新規申請時はどれだけ多くの業種で許可を受けたとしても、申請手数料は変わりません。一方、許可後に業種追加をする場合は手数料がかかってしまいます。専任技術者等の条件を満たしているのであれば、新規申請時に取れる業種についてはすべて取得しておくのがおすすめです。